
システムズ・アプローチとは?
対象の細部を分析するのではなく,それがどのような要素から構成されていて,各要素がどのような役割をもち,それらがどのように連携し,全体としてどのような機能を果たしているのかを解明しようとする考え方です.つまり,各要素の連携の仕方から,全体としての働き方に齟齬(くい違い)がないか評価し,問題点を明らかにする.このような問題解明の考え方をシステムズアプローチとよび,システム工学の基本をなす重要な考え方となっています.
■対象を構成する要素とその機能を明らかにする
■構成要素間の連携方法を明らかにする
■全体としての働きを評価し問題点を明らかにしてシステムを改良する
システムズアプローチによる問題解決の方法 ー システム工学入門 池田將明
- システム工学は、複雑な工学システムを設計、構築、運行、維持するためにシステム思考を使う分野である。(wikipedia システム思考)
- 「システムズ・アプローチはシステム思考とも呼ばれる」
システムズ・アプローチとは何か(日本オペレーションズ・リサーチ学会)
システムについて(そもそも、システムとは何か?)
- システムとは、定義された目的を成し遂げるための、相互に作用する要素を組み合わせたものである。これにはハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、人、情報、技術、設備、サービスおよび他の支援要素を含む。(INCOSE:International Council on Systems Engineering)
- システムとは, 多数の構成要素が有機的な秩序を保ち, 同一目的に向かって行動するもの.(JIS Z 8121)
- 所定の任務を達成するために, 選定され, 配列され, 互いに連係して動作する一連のアイテム(ハードウェア, ソフトウェア, 人間要素)の組合せ.(JIS Z 8115)
- システム(system)は、相互に影響を及ぼしあう要素から構成される、まとまりや仕組みの全体。一般性の高い概念であるため、文脈に応じて系、体系、制度、方式、機構、組織といった多種の言葉に該当する。(wikipedia システム)
システム工学(システムズ・エンジニアリング)について
- システムズエンジニアリング(SE)とは、システムを成功させるための複数の専門分野にまたがるアプローチと手段である。(INCOSE:International Council on Systems Engineering)
- システム工学とは,システムの目的を最もよく達成するために,対象となるシステムの構成要素,組織構造,情報の流れ,制御機構 などを分析し,設計する技術。(JIS Z 8121)
- システム工学(systems engineering)とは、システムの設計、制御、および効率などを研究する学問である。(wikipedia システム工学)
「システム工学は第二次世界大戦の中で発達したオペレーションズリサーチ(OR: Operations Research) の手法やコンピュータ開発の際に発達したサイバネティクスなどの情報理論をベースに体系化されてきた学問です. OR とは日本語にすると軍事作戦研究ということで戦争の中で合理的な作戦を立案するために考案されました.また,サイバネテイクスとは生物の仕組みや情報伝達法を機械制御や情報システムに利用しようとした学問をいいます.」
「システム工学は,”工学” という言葉を使っているにもかかわらず,検討対象を把握する考え方が工学と大きく異なっています.工学では,対象を細分化してそれを分析することにより,その性状や構造を解明しようとするアプローチが主流です.これに対して,システム工学では対象全体をマクロに把握し,それを構成する要素とそれらの役割や連携の仕方から対象のなす働き(機能)を理解するというアプローチが取られます.このようなものの捉え方をシステムズアプローチ(systems approach) とよびます.」
システムズアプローチによる問題解決の方法 ー システム工学入門 池田將明
- サイバネティックス(cybernetics)は、通信工学と制御工学を融合し、生理学、機械工学、システム工学、さらには人間、機械の相互関係(コミュニケーション)を統一的に扱うことを意図して作られ、発展した学問。
語源はギリシャ語で「(船の)舵を取る者」を意味するキュベルネーテース(ギリシア語:Κυβερνήτης)。(wikipedia サイバネティックス)
注意:日本におけるシステムエンジニアの定義
- 本来、「システム」という語は「相互に影響を及ぼしあう要素から構成されるまとまりや仕組みの全体」といった意味合いであり、英語では様々な分野・領域で使われる言葉である。しかし日本でいうところの「システムエンジニア」が対象とするシステムはもっぱら情報システムのみである。(Wikipedia システムエンジニア)
- システムエンジニア(略称:SE、エスイー)とは、日本において情報システム関連の業務に従事する者を指す用語である。英語における Systems Engineer はシステム工学のエンジニアのことであり、情報技術者全般を指すような用法は和製英語と言える。(Wikipedia システムエンジニア)
- 英語圏では「システムズ・エンジニア」と呼ばれる職域があるが、これは文字通りシステム工学に関わる技術者を指すものであり、日本のシステムエンジニアとは重ならない。「システムエンジニア」という用語自体が和製英語であり、日本で慣習的に使われているような用法は海外では基本的に通じないので注意が必要である。(Wikipedia システムエンジニア)
[参考]システムズエンジニアってナニ? (コーナー2.の 03:00頃から質問コーナー)地球のみなさんこんにちは 石松拓人/NASAエンジニア
仕事や人生に役立つ「システム思考七ヶ条」
仕事や人生に役立つ「システム思考七ヶ条」
1.人や状況を責めない、自分を責めない
なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?―小さな力で大きく動かす!システム思考の上手な使い方 枝廣 淳子/小田 理一郎【著】
2.できごとではなく、パターンを見る
3.「このままのパターン」と「望むパターン」のギャップを見る
4.パターンを引き起こしている構造(ループ)を見る
5.目の前だけではなく、全体像とつながりを見る
6.働きかけるポイントをいくつも考える
7.システムの力を利用する
ソフト・システムズ・アプローチ
システムアプローチには,ハードシステムアプローチ と ソフトシステムアプローチ の2種類がある。関心のある問題状況に関与している人が複数存在する場合,ハードシステムアプローチは,全関与者の目的が一元的で,たがいに合意がなされている状況で行われる方法論である。一方,ソフトシステムアプローチは,全関与者の目的が多元的な状況を考慮する方法論である。特に伝統的なシステム工学は,ハードシステムアプローチの立場として解釈される。
システム方法論―システム的なものの見方・考え方 岩下基 (著)
ソフトシステム方法論 (Soft Systems Methodology、SSM )とは、一言で言えば、様々な価値観が存在する状況でディベートや自由討論によってアコモデーション(accommodation)を効果的に支援しようとする、典型的なソフトシステムアプロ一チの1つである。
ソフトシステム方法論とは何か 木嶋恭一
アコモデーションは、利害や価値観が一点に収束している合意(コンセンサス)達成の状況とは異なる概念である。それは 、他者の価値観が自らのそれとは違っていることを認め理解した上での多様な価値観の共存であり、いわば「呉越同舟」「同床異夢」といった状況である。
SSM で考えれば,社会システムとはモノとコトの浸透し合い混じり合った相互作用(intertwine)のプロセス(生活世界)であって,それを解明することは客観的にコトを切り捨てモノの存在としてだけ実証的に分析したり,設計したりすることは片手落ちであり,むしろ現場のコトそのものに行為的に関わり,そこからアクチュアルな学習を引き出してくる方法論を模索することが不可欠なのである.
「モノの学」から「コトの学」へ〜SSM 方法論 内山研一
アコモデーションという英語は,米国英語においては宿舎という意味が第一義的であるが,もともとの英国英語では個々の違った見方・考え方の同居という意味がある.つまり 100%の合意(agreement)であるコンセンサスとは違った意味での合意を表している.