5.答え合わせ

“ 無理が通れば、道理が引っ込む ”

 ぼくの方法論とは、「全体像を把握した上で、因果関係を合理的にコントロールして成果を最大化する」最適化の手法だったと自己分析できた。これが「ワンマンで独善的」だったり「スピード感や勢い(やる気)が感じられない」と批判的に見られていた可能性がある。

 自分の中で整理できたことを、いくつかの切り口から簡単にまとめてみる。

1.意思決定には、信念体系の違いが影響している。特に、マネジメントにおける「リスク管理」の判断基準に及ぼしている影響(文系と理系の違い?)は大きい。

2.意思決定のバランスが取れた状態(結果)は理屈でも感覚でも解釈できるが、その調整には専門的な知識や経験が必要になる。両者のハードルの高さは大きく異なる。

3.組織の壁を越えた連携の強化によって、全体の生産性を向上させることができるが、部門毎の成績管理との齟齬が生じる。それに対する賛否は哲学的な議論になる。

 こういった観点から振り返ってみると、ぼくが過去に経験してきた失敗やトラブルの顛末とほぼ整合性が取れた。普遍性の高そうな問題については、個人の感想で済ませずに少し解像度を上げて解決の糸口を考えてみた。

(これらが今後の自分自身に対するフォローになると共に、似たような立場でご苦労されている方々のお役に立てば幸いです・・・)

 一般的に、組織改革の障壁は「抵抗勢力」だと言われる。しかし、現場の課題をクリアできるようになってみると、むしろ「推進する側」の足並みの乱れの方が深刻に感じられた。プロジェクトの成功を「本気で」目指した結果、関係者の期待が実はバラバラで、様々な思惑が表面化してしまうことがある。そんな局面では、予期せぬ事態(事件)が起こりやすい。

 プロジェクトには「ゴール」がある。事業が軌道に乗ったとしても、ぼく自身は「いずれ」目処をつけてラインから離れる前提で参画してきた。そういった貢献の仕方が「理に適っている」と考えていたが、それを「無責任」「いいとこ取り」と感じる方もいたかもしれない。

 ぼくは「合理性を高めて問題を解決する」ことに達成感(生き甲斐?)を感じて、そこにシンプルに邁進することができた。しかし、違った観点から考えれば、それと「あまり相性が良くない」価値観があることも理解できるようになった。

 課題だった「説明能力の問題」に加えて、あらゆる関係者と不用意に対立しないようにする「配慮」が足りなかったと反省している。そこを意識することで、これまで以上にプロジェクトの破綻リスクを回避できる(=成功の確率が高まる)ように感じている。

 但し、これが唯一絶対の方法論であるとは限らないので、今は自分と違う考えの人、違ったタイプの方々からも、たくさん話を聞いていきたいと思っている。(了)