日本人が管理をするか、中国人に任せるべきか?

第2部:「中国だから」「中国人だから」の落とし穴
china_title3.日本人が管理をするか、中国人に任せるべきか?

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参考資料「コーチングが機能する領域」( coach21のサイトより )

まず「リスクと能力」ですが、問題となるのはリスクの高い領域となります。
経験が豊富で能力の高い中国人をマネージャーに採用できた場合、目標や方向性を提示した上で、具体的な実行は任せる「コーチング」的アプローチでも良いと思います(A領域)。
若い中国人(経験が浅い→能力が低い?)の場合は「ティーチング」を要する場合が多いはずです(C領域)。日本で要求されるサービスや品質のレベルをどのように実現するか、彼らの多くは実体験として知りませんから、それを理解して実践できるようになるまで日本人マネージャーによる管理と指導が必須です。
この表で確認できるのは、業績に関わるような「成果を求められる仕事」について、中国人に丸投げして「結果を出せ!」といった任せ方は存在しない、ということです。プレッシャーから荒っぽい方法で目先の目標だけを達成しようとするため、ブランディング面での弊害が多くなります。実務経験のある中国人でも、日本企業での勤務経験などがない場合は、日本人がコーチ役となって考え方やノウハウを共有しながら進めることが大切です。

次に「重要度と緊急度」ですが、「重要だが緊急ではない」中長期的な取組みを、中国人の次世代リーダーに任せるのが良いと思います。逆に、緊急度の高い、業績に直結するような取組みは、やはり日本人の責任者がリーダーシップを発揮して推進するべきです。
仕事の進め方、顧客に対するスタンスなど、まだまだ一般の中国人との認識の差は大きいです。時には議論が倫理観など哲学的になり「ハーバード白熱教室」のようになってしまいます。柔軟さも大切ですが、経営ビジョンや事業コンセプトといった旗を掲げて、強力なリーダーシップで牽引しなければスピード感のある展開は難しいと感じます。

一方で、中国でも留学経験のあるMBA取得者などが増えています。我々に近い感覚で中国マーケットの未成熟な部分に着目できますし、彼らは(少なくとも自分より)能力が高い・・・我々以上に中国を理解していて中国語も不自由ないわけですから、絶対に適いません。
そういった優秀な中国人には段階的にでも権限を与えて任せていくべきで、それが「中国人に任せた方が良い」の真意ではないでしょうか。

MBA取得者は極端な例ですが、バイリンガルの若い中国人には我々と近い感覚を持つ者も多く、中途採用の応募者には日系企業でしっかりした社員教育を受けてきた人もいます。そういったポテンシャルを見抜いて、どこまで任せても良いかを判断するのが現地マネージャーの大切な役割になるでしょう。